日々稼働を続ける工場設備。その中でもボイラー、加熱炉、配管、排気ダクトといった高温部分は、常に過酷な環境に晒されています。
高温という条件は、金属の劣化を促進させるだけでなく、厄介な「錆」の発生を著しく加速させます。
お客様「サビが発生するとどのような影響が設備に出るんでしょうか。。。」
東京熱化学工業「設備の寿命を大幅に縮め、予期せぬ稼働停止、メンテナンスコストの増大、製品品質への悪影響へと繋がる可能性を秘めています。
高温環境下での確実な防錆対策は、多くの工場設備の管理者様にとって重要な課題です。」
とりあえず一般的な錆止めを塗っている」という対策では、高温に耐えきれず、すぐに塗膜が剥がれたり、本来の防錆性能を発揮できなかったりすることが少なくありません。
この記事では、高温環境特有の錆問題を解決する「耐熱錆止め塗料」の必要性、機能について、50年以上にわたり耐熱・断熱塗料の開発・製造・販売に特化してきた東京熱化学工業株式会社が初心者でもわかりやすいように解説します。
高温環境が引き起こす「錆」問題とその影響
工場設備において「高温」と「錆」は密接に関連しており、相互に悪影響を及ぼし合います。
お客様「なぜ高温環境下では錆が発生しやすいんですか?」
東京熱化学工業「金属が錆びる(腐食する)現象は、基本的に金属が酸素や水と反応する化学変化で起きるんです。」
化学反応は温度が高いほど速く進む性質があります。
高温環境は金属表面での酸化反応を著しく促進させ、錆の発生・成長スピードを加速させてしまいます。
特に、数百度以上の高温域では、空気中の酸素と金属が直接反応する「熱酸化(乾食)」と呼ばれる現象が顕著になります。これにより、金属表面に酸化スケールが生成され、進行すると素材自体の強度低下や減肉を引き起こします。
一般的な防錆塗料では対応できない理由 – 樹脂の熱分解と密着不良
お客様「通常の市販の防錆塗料で対策は、できないんですか?」
東京熱化学工業「塗料に使用されている合成樹脂(アクリル、ウレタン、エポキシなど)は、一定以上の温度に晒されると熱分解を起こし、塗膜の強度低下、変色、亀裂、剥離などを引き起こします。その為弊社のような耐熱塗料さび止めが注目されているんです!」
通常の防錆塗料は、一定以上の温度に晒されると熱分解を起こし、塗膜の強度低下、変色、亀裂、剥離などを引き起こします。
また、高温による金属の膨張・収縮に塗膜が追従できず、密着性が失われることもあります。
錆がもたらすリスク – 設備破損、性能低下、エネルギー損失、安全上の脅威
高温部の錆を軽視し、適切な対策を怠ると、以下のような様々なリスクが生じます。
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- 設備強度低下と破損: 錆による減肉が進行すると、配管の穴あき、タンクの漏洩、構造部材の強度不足などを引き起こし、設備の破損や機能停止に繋がります。
- 性能低下とエネルギー損失: 熱交換器の伝熱面に錆が付着すると熱効率が低下し、エネルギーロスが増大します。また、ポンプやバルブ内部の錆は作動不良の原因となります。
- メンテナンスコストの増大: 頻繁な補修塗装や部品交換が必要となり、メンテナンス費用や人件費が増加します。突発的なトラブル対応は、計画外のコスト発生要因です。
- 生産停止による機会損失: 設備の不具合による生産ラインの停止は、直接的な修繕費以上に大きな経済的損失(機会損失)を生みます。
安全上の脅威: 配管や圧力容器の破損は、高温の流体や危険物の漏洩を引き起こし、火災、爆発、作業員の負傷といった重大事故に繋がる危険性があります。
「耐熱錆止め塗料」とは? – 高温下の過酷な環境から設備を守る
高温環境特有の錆問題に対応するために開発されたのが、「耐熱錆止め塗料」です。これは、高温に耐える「耐熱性」と、錆の発生・進行を抑制する「防錆性」という、二つの重要な機能を併せ持った特殊な塗料です。
耐熱性と防錆性の両立を実現する技術
耐熱錆止め塗料の核心技術は、高温でも安定した性能を維持できる特殊な樹脂と、効果的な防錆顔料の組み合わせにあります。
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- 耐熱性バインダー: 主にシリコーン樹脂やその変性樹脂などが用いられます。これらの樹脂は、高温下でも熱分解しにくく、金属素地との密着性を維持する能力に優れています。
- 防錆顔料: 特殊顔料など、高温でも効果を発揮する防錆顔料が配合されています。これらが素地を保護したり、腐食反応を抑制したりします。 東京熱化学工業の「サーモジン®」シリーズは、独自の変性シリコーン樹脂技術と、長年の研究に基づく最適な防錆顔料の配合により、優れた耐熱性と長期的な防錆性能を両立しています。
【用途別】工場設備における耐熱錆止め塗料の活用シーン
耐熱錆止め塗料は、工場内の様々な高温設備や部品の保護に重要です。ここでは、具体的な活用シーンを解説します。
プラント設備:配管、熱交換器、ボイラー、反応釜、煙突、集塵機など
石油化学プラント、発電所、製鉄所、製紙工場、ゴミ焼却施設など、多くのプラントでは高温・高圧の流体やガスを扱う設備が多数存在します。これらの外面は、内部からの熱に加え、設置環境(屋外暴露、腐食性ガス雰囲気など)の影響も受けるため、高度な耐熱性と防錆性、さらに耐候性が求められます。
配管外面温度が300℃を超える場合、一般的な塗料ではすぐに劣化します。耐熱温度を満たすサーモジン® Lタイプのような下塗り材と、耐候性に優れたサーモジン®上塗り材を組み合わせることで、長期的な外面腐食を防止することが可能です。
製造ライン:各種工業炉(加熱炉、溶解炉、焼鈍炉)、乾燥装置、排ガスダクトなど
自動車部品、金属加工、セラミックス、食品製造など、様々な産業の製造プロセスには、材料の加熱や乾燥を行う装置が不可欠です。これらの装置は、輻射熱や高温ガスに直接晒されるため、極めて過酷な環境下にあります。
炉の内装・外装に耐熱錆止め塗料を適用することで、高温酸化によるスケールの生成を抑制し、炉材の損耗を防ぎます。
使用温度や雰囲気に応じて、600℃耐熱のL600や、さらに高温に対応するサーモジン®製品の選定が可能です。
【長期防錆・高耐熱】東京熱化学工業の高性能下塗り「サーモジン® Lタイプ」
数ある耐熱錆止め塗料の中でも、東京熱化学工業が自信を持って推奨するのが、常温乾燥型の長期暴露用下塗り塗料「サーモジン® Lタイプ」です。
独自の樹脂技術: 耐熱性と付着性に優れたシリコーン系樹脂をベースとしており、高温下でも安定した塗膜物性を維持します。
高機能防錆顔料: 特別に選定された高性能な防錆顔料を効果的に配合することで、素地を錆から強力に保護します。一般的な耐熱塗料と比較して、格段に優れた防錆持続力を発揮します。
サーモジン® Lタイプには、要求される耐熱温度に応じて2つの製品があります。
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- サーモジン® L300:
- 耐熱温度: 300℃
- 色調: さび色
- 荷姿: 4kg, 16kg
- 推奨膜厚: 30~40μm/回
- 塗布量(理論値): 約0.15 kg/m²/回
- 乾燥時間(20℃): 指触30分、硬化24時間、塗り重ね8時間以上
- 用途例: 300℃以下の配管、タンク、ボイラーケーシング、集塵機など
- サーモジン® L600:
- 耐熱温度: 600℃
- 色調: さび色
- 荷姿: 4kg, 16kg
- 推奨膜厚: 30~40μm/回
- 塗布量(理論値): 約0.16 kg/m²/回
- 乾燥時間(20℃): 指触30分、硬化24時間、塗り重ね8時間以上
- 用途例: 600℃までの加熱炉、煙突、排気ダクト、エンジン排気系など
- サーモジン® L300:
まとめ
高温と錆という厳しい条件下にある工場設備を守り、その性能を最大限に引き出し続けるためには、「耐熱錆止め塗装」が重要です。
設備の稼働条件(温度、素材、環境)を正確に把握し、要求される性能(耐熱性、防錆性、耐候性、耐薬品性など)を満たす最適な塗料システムを選定することをお勧めします。
特に、長期的な防錆性能と高温耐性が同時に求められる過酷な用途においては、「サーモジン® Lタイプ」のような高性能な耐熱下塗り塗料を導入することで、通常よりも、サビから設備を守れるようになります。