工場やプラントの過酷な環境には、強い酸成分や高温ガスが日常的に飛散しています。それに直面する設備や配管は、無防備の金属のままではわずかな期間で腐食し、トラブルにつながる可能性があります。
このようなトラブルを解決する方法を知りたい方のために50年以上にわたり高機能性塗料の開発・製造・販売を行ってきた東京熱化学工業が解説していきます。
本記事では、ニッチな分野に特化した高機能塗料メーカー「東京熱化学工業株式会社」の実績ある製品を使って、耐酸塗料の基礎知識から選ばれる理由、採用例まで実用的に解説します。
耐酸塗料とは?
強い酸成分や高温ガスによる金属の腐食には、「耐酸塗料」が 有効です。酸、薬品、熱などの多重ダメージから設備を保護するための専用コーティングで、設備トラブルを予防しつつ、高い耐久性も一緒に実現できます。
なぜ、耐酸塗料が注目されているのか
化学プラント、水処理施設、製薬・食品工場、さらには製鉄やエネルギー産業インフラは、酸・アルカリ・塩類・高湿度・高温が同時に存在する環境にさらされています。
こうした現場では、鋼材や配管、熱交換器、バルブといった金属部材が絶えず腐食リスクにさらされ、わずかな塗膜の欠陥が全体の設備停止や製品品質の低下につながりかねません。
耐酸塗料を使用し、薬品飛散や酸性ガスに強い塗膜バリアを形成することで、腐食を根本的に抑え込む耐酸塗料が脚光を浴びています。
どうして酸は金属を傷めるの?
酸は金属を溶かし、サビを進める働きが強い。
表面のサビが進むと中まで腐食が広がる。
腐食の原因と、塗料による保護の重要性
腐食は大きく分けて「化学的腐食」と「電気化学的腐食」に分類されます。いずれも金属の断面積を徐々に減少させ、強度低下やピンホールリークを引き起こします。
さらに産業設備では「温度サイクル」「振動」「塩分」なども塗膜劣化を加速させます。
塗膜が割れたり膨れたりすると、そこから薬品が浸透して腐食が一気に進行してしまいます。だからこそ、耐酸塗料には防錆だけでなく耐熱・耐湿・耐薬品といった多機能性が必須となるのです。
特に「耐熱×耐酸」の両立は非常に難しいため、特殊塗料設計が採用されます。
耐熱性・耐薬品性・耐久性が求められる理由
高温で劣化せず、しかも薬品にも溶解しないような塗膜は高性能複合樹脂でなければ実現できません。
耐酸塗料に使われる樹脂の種類と特性比較
耐酸塗料に使われる樹脂は、様々です。各樹脂を初心者でもわかるようにまとめました。
フェノール樹脂|汎用性と作業性に優れる
高速乾燥と低コストが魅力。耐熱上限120 ℃のため短期設備やタンク外面に適用可能。
エポキシ樹脂|高耐酸性と密着力の両立
細かい網目構造で酸をブロック。
金属への接着力が高く、はがれにくい。
耐酸・防錆に強いが150 ℃以上では劣化。金属基材と相性良好。
シリコーン樹脂|300℃に耐える耐熱性が強み
ガラスと同じ Si–O–Si の強い結合で、300 ℃付近でも変質しにくい。
高温・熱衝撃に無類の強さを発揮する一方、酸への耐性は限定的。
複合樹脂システムによる次世代の性能
エポキシと高含有シリコーンを融合したハイブリッド塗膜は、それぞれの”いいとこ取り”で酸と熱に強い。
どんな素材に使えるのか?|塗布対象と適用条件
東京熱化学工業株式会社では常温乾燥型の耐熱耐酸塗料「チムニ」を展開しています。
「チムニ」の特徴
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- エポキシ樹脂×高含有シリコーン樹脂のハイブリッド構造。独自のE-Siクロスリンク技術で長期間の「耐酸×耐熱」を両立。
- 耐酸性が高く、帯電防止機能もある。
- 適応温度:常温~300℃
- 煙突(Chimney)、腐食性ガスの出る焼成装置のダクト内面に最適
まとめ
酸、薬品、高温、高湿が重なる過酷な現場においては、金属設備の腐食はすさまじく驚くべき速さで進行します。一般的な塗料では保護しきれず、自社設備の生産機能や安定操業をおびやかすリスクを否めません。
そこで注目されているのが、耐酸性はもちろん、耐熱性や耐薬品性など複数の機能を一緒に具えた「高機能耐酸塗料」です。
「腐食によるトラブルに悩まされたくない」「新しい設備は最初から長持ちさせたい」とお考えのご担当者様は、ぜひ東京熱化学工業株式会社の耐酸塗料をご検討ください。