2025.6.27

放熱塗料とは?産業機器現場で活躍する塗るだけで放熱出来る塗料!?

「機器内部に熱がこもり、性能が安定しない」「ファンを増設したいが、スペースに余裕がない。」

産業機器や電子部品の開発・設計・製造現場では、こうした製品・製造過程での熱対策の課題が日々つきまといます。

これまで多くの現場で、ファンやヒートシンクといったアクティブな冷却手段が選ばれてきました。

しかし、騒音・コスト・設置スペースの制約といった問題から、「塗るだけで熱を逃がす」という放熱塗料に注目が集まっています。

本記事では、放熱塗料の仕組みや効果の原理、導入メリット・活用事例を交えながら、「なぜ今、放熱塗料なのか?」「放熱塗料とは、何か?」という疑問に答えます。

50年以上にわたり高機能性塗料の開発・製造・販売に特化してきたニッチで先進的な高機能性塗料市場におけるリーディングカンパニーの弊社 東京熱化学工業が初めて放熱塗料を検討する現場管理者・技術者・設計担当者の方にもわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

なぜ放熱塗料が“塗るだけ”で冷却できるのか?

放熱塗料の仕組み(熱伝導・熱放射のメカニズム)

放熱塗料は、物体の表面に塗装することで効率的に熱を放散させる特殊な機能性塗料です。一般的な塗料と異なり、熱エネルギーの移動を促進させる特性を持っています。

熱の伝わり方には熱伝導・熱伝達(対流)・熱放射(輻射)の3つがあります。放熱塗料は特に「熱放射」の効率を高めることで、塗装された物体の表面から効率よく熱を放出します。

どんな素材に使えるのか?(塗布対象と適用条件)

東京熱化学工業株式会社が展開する放熱塗料「サーモジン®」は、金属(鉄、アルミ、ステンレス、マグネシウムダイキャスト)や非金属(ガラス)など、多岐にわたる素材に塗布可能です。

さらに、各素材に適した前処理や下地材も技術サポートされており、密着性や耐久性も確保されています。

放熱塗料を選ぶ際のチェックポイント

最適な放熱塗料を選定するためには、以下の点を確認することが重要です。

    • 使用温度域:使用環境の最高温度に対応した耐熱性能があるか
    • 放熱性能:必要な熱伝導率・熱放射率を満たしているか
    • 塗装対象:金属や樹脂など、対象素材に適応しているか
    • 追加機能の有無:絶縁性、防汚性、耐摩耗性などのニーズに対応しているか
    • 使用環境:屋外・屋内など、耐候性・環境負荷への対応が適切か

ファン・ヒートシンクとどう違う?(アクティブ冷却との比較)

放熱塗料は、以下のような点でアクティブ冷却(ファン、ヒートシンク)と異なるメリットを持ちます:

【省スペース】:ヒートシンクのような立体構造を必要とせず、狭所や複雑形状にも塗布可能。

【静音性】:可動部がないため、振動や騒音を発生させず、静音設計に寄与。

【メンテナンスフリー】:ファンのような故障リスクがなく、長期的な安定運用が可能。

これらの特性から、電子機器や高密度実装製品など、冷却装置を追加しにくい分野で高く評価されています。

放熱塗料 vs 他の塗料(断熱・遮熱との決定的な違い)

「熱を逃がす」vs「熱を防ぐ」|目的の違いを整理

| 塗料の種類 | 主な目的                          | 熱の扱い方           |

| 放熱塗料     | 内部の熱を逃がす           | 熱放射・熱伝導により外部へ放出 |

| 遮熱塗料     | 外部からの熱を防ぐ        | 赤外線の反射やカットで遮断   |

| 断熱塗料     | 熱の流入・流出を抑える | 熱伝導を妨げ、断熱層を形成   |

放熱塗料は、「内部に発生した熱を外に逃がす」ことを目的とした塗料です。これに対し、遮熱塗料や断熱塗料は、外部からの熱の侵入を防いだり、熱移動を抑えたりする用途で使われます。

放熱塗料の選定が適しているのはどんなシーンか?

放熱塗料が効果を発揮するのは、以下のような用途です:

【電子機器・電装品の熱対策】:高密度実装の回路基板、モーターカバー、パワー半導体、制御盤など。

【狭所・密閉空間】:空冷ファンを設置できない小型装置や密閉筐体内の発熱源への塗布。

【高温環境】:800℃まで耐えられる製品もあり、エンジン周辺や配管、ボイラーなどで使用。

サーモジン®とは?初心者でもわかる耐熱・放熱塗料の特徴とメリット

「サーモジン®」は、東京熱化学工業株式会社が開発した、熱に強く、効率的に熱を逃がす特殊な塗料です。電子機器や工業製品など、熱の影響を受けやすい部品の保護に活躍しています。

従来の塗料とは異なり、サーモジン®は「耐熱性」と「放熱性」を両立しているのが特長。さらに、紫外線や過酷な環境にも強く、長期間にわたって性能を維持します。

ここでは、サーモジン®の特長を初心者にもわかりやすく解説します。

シリコーン系樹脂が高温に強い理由とは?

サーモジン®のベースとなっているのは、シリコーン系の樹脂。この樹脂は、非常に高い温度にも耐えることができる構造を持っています。

その理由は「Si-O結合(シロキサン結合)」という、熱に強い分子構造にあります。この結合は、有機塗料によく使われるC-CやC-O結合よりも、壊れにくく安定しています。

たとえば…

C-C結合:約365kJ/mol

C-O結合:約339kJ/mol

Si-O結合:約444kJ/mol(サーモジン®に使われている結合)

このように、分子のつながり自体が熱に強いため、サーモジン®は800℃という高温にも耐えられる優れた耐熱塗料なのです。

紫外線に強く、屋外使用でも長持ち!

塗料は紫外線にさらされると、だんだん劣化してしまうものもあります。しかし、サーモジン®に使われているシリコーン樹脂は、紫外線の中でも特に劣化を引き起こしやすい「400nm以下の波長」をほとんど吸収しません。

そのため、屋外や直射日光の当たる場所でも、ひび割れたり、はがれたりしにくく、長期間にわたって性能と美しさを保つことができます。

放熱性の秘密は“アルミナ顔料”にあり

サーモジン®は、単に熱に強いだけでなく、「熱を逃がす力=放熱性」にも優れています。その秘密は、塗料に含まれている「アルミナ」というセラミック成分にあります。

アルミナは、熱を効率よく伝える性質(熱伝導性)を持っており、塗布した部品から熱を素早く外へ逃がします。これにより、電子部品などの過熱を防ぎ、機器の寿命や安定性を保つことができます。

まとめ

産業機器や電子部品の熱対策は、製品の信頼性・安全性・長寿命化を実現するために不可欠な要素です。その中で、「塗るだけ」で熱を逃がす放熱塗料は、次世代の熱マネジメントとして大きな注目を集めています。

東京熱化学工業株式会社は、科学的根拠に基づいた高機能塗料を開発・提供するメーカーとして、信頼と実績を築いてきました。多様な業種・用途に対応する柔軟なカスタマイズ提案も強みです。

耐久性・安全性・持続可能性を兼ね備えた放熱ソリューションをお探しの方は、ぜひ一度「サーモジン®」をご検討ください。

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